厚労省で起こった統計数値の不正は、問題が長引いています。
「毎月勤労統計」という数値以外にも、22の統計に不備が見つかりましたし、
2004年から2011年までの調査資料についても保存期間が終了したという理由から、すでに廃棄したことも発覚しています。
この点について過去に放送された「報道特集」を見てみると、専門家の先生がこう発言しています。
「作れませんということで状況を逃げ切ろうとしているのかもしれない。」
ただこの点については、
「いろんな形で再現する方法はある。」とも発言なさっていました。
また統計についてはこう発言していました。
「統計をどのくらい大事にするかということは、その国のインフラで非常に重要」
「今作っている統計だけではなく、過去100年200年に戻れる統計を集めておくということが、将来の世代について非常に役に立つ情報になると思うと、
たかが十数年前のデータをすでに破棄している状態は危機的」
(総務省統計委員会 委員長代理 北村行伸氏)
こうした問題が起こった背景としては、統計に関わる職員の数が少ないことも挙げられていますし、
政治家の側でも統計の専門家の先生と連携して、統計数値を何らかの形でチェックする必要もあったのかもしれません。
またこうした問題が発覚した以上は、政府与党も誠実に対応していただきたいとは思いますし、
日本の統計数字の信頼性を取り戻すためにも、中途半端な幕引きはしてもらいたくないと思います。
ただ少し気になるのは、厚労省の担当の幹部を更迭(こうてつ)したことです。
統計の点検に関して、報告漏れがあったことが原因と言われていますし、
それが本当であれば確かに更迭に値することだとは思いますが、
正直に物を言える空気だったのか?
その点はやや気になるところで、
辞めることだけが責任を取ることとは言えない場合もあると思います。
またこういう問題が起こった以上は、問題の本質を明らかにして、
日本の統計数値の信頼を取り戻すことが何よりも不可欠なことだと思いますし、
そのために身を粉(こ)にして働いてもらうことが責任の取り方、という場合もあると思います。
そういえば統計数値は、様々な判断の元になる数値ではありますが、
私たちも得た情報を元に様々な判断を行っていますので、
ネット上の情報の取り扱いにも充分な注意が必要ですね。