年金制度の変遷と問題点について

老後の蓄え2000万円。

 

この金融庁の報告が話題になっていますが、

 

サンデーモーニングで年金制度について詳しく説明していましたので、ここでまとめたいと思います。

 

 

まず戦前は軍人や公務員を対象とする恩給制度のみで、

 

一般の労働者を対象とする年金は戦時中の「船員保険制度」に限られていました。

 

 

少し気になったので戦前の平均寿命をネットで調べてみると、1947年の調査では、

 

男性50.06歳

女性53.96歳

 

それ以前では50歳を下回る平均寿命だったようです。

 

 

そして戦後、現在の日本国憲法が定められましたが、第25条の第2項は以下のようになっています。

 

国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

 

この憲法の条文を元に、全ての国民を対象とした年金制度が検討されるようになります。

 

そして1959年に「国民年金法」を制定。

 

1961年には「国民皆年金制度」がスタート。

 

 

こうした制度が作られた時代背景を専門家は、

 

戦争によって財産や経済力など、それまでの仕事を失った高齢者を助けるという共有目標があり、相互扶助ということに力点が置かれていたと指摘しています。

 

その後に日本は高度経済成長を遂げ、年金制度による膨大な資金が政府に積み上がりましたが、

 

その年金資金の約3700億円を使って、政府はグリーンピアという保養施設を作りました。

 

ただそれらの保養施設も赤字経営が続き、次々と閉鎖されることとなりました。

 

 

そんな中で小泉元総理が掲げたのは、年金100年安心プラン。

 

これは集められた財源の範囲内で年金の支払額を調整する仕組みで、

 

人口が減少して財源が減れば、年金の支払額も減らす仕組みになります。

 

ただその後も2007年には5000万件の年金記録が消えた、いわゆる「消えた年金問題」が起こるなど、ずさんな管理が問題になり、

 

現在では老後の蓄えが平均で2000万円必要との報告書が出されることになり、

 

日本の年金制度に対する信頼感が損なわれることとなっています。

 

 

また年金制度の問題について専門家は、

 

時代が経ってくると、高齢者=経済的に苦しい、若者=お金持ちという前提が成り立たなくなってきていて、

 

現役世代にもお金持ちから稼げない人までいて格差がある中で、

 

世代間の助け合いという前提自体が非常に根拠の薄いものになってしまったと指摘しています。

 

 

確かに年金制度ができた当初は、平均寿命も短くて人口も増えていて、経済的にも成長していた時代。

 

年配の方からその頃は、早く就職するよりも遅く就職した方が初任給が高くなる、という話を聞いたことがありますが、

 

そんな時代であれば、若い世代から高齢者にお金を配分する制度で何も問題は起こらなかったと思います。

 

ただ時代は徐々に変わってきていました。

 

平均寿命は長くなって、人口の増加のペースは徐々に落ちていて、現在は人口が減少する局面が訪れています。

 

そして格差は広がっていて、若者は奨学金の返済もあるなど、経済的に豊かな人たちばかりではありません。

 

こうした状況の中で、若者から高齢者にお金を渡すという制度は、継続することが難しくなっていることは明らかだと思います。

 

その意味では、今回の金融庁の報告は制度を見直す重要なものだと思いますが、

 

政府はこの報告書を受け取らないことを決めました。

 

問題点が起こったら「クサいものにフタ」をすることが政治なのでしょうか?

 

問題点が明らかになったら、この点を解決すべく制度の見直しを行って欲しいと思うのは私だけではないはずです。

 

 

また個人的には年金制度は、自分が積み立てたものを自分で受け取るという形に変更することが望ましいと思いますし、

 

本来であれば、ここに至るまでの間に制度を変更するべきタイミングがあったようには思います。

 

(今さら言っても仕方ないことですが・・・)

 

ただそうなると民間の年金でも良いわけで、公的な年金制度の必要性は乏しくなる面はあると思います。

 

また高齢者でも資金的にゆとりがある方に対しては、年金の支払額を減らしたり無くしたりすることも検討した方が良いと思いますし、

 

所得税の一部を年金に回すことも検討した方が良いのかもしれませんが、

 

そもそも資本主義の世界では、格差が生じることは仕方ない中で、

 

老後に蓄えができなかった高齢者をどこまで救うべきなのか?

 

天寿を全うするまでの金銭的な負担をまかなうのか?

 

一定の年齢(例えば70歳)までの負担をまかなうのか?

 

北欧のように負担は大きいが、メリットも手厚い制度設計にすることも一つかもしれませんが、

 

現実的に継続可能な制度設計は何なのか?

 

まずその点からしっかりと考えをまとめる必要があるように思います。

 

 

個人的には私自身は自分で蓄えられた範囲内だけで生きていけば、それで良いと考えていますし、

 

以前からこのブログで書いていますが、

 

自分の人生の終わりを決められる権利を開放すれば、全てではないとしても年金問題の一部は解決すると思います。

 

また一方では全ての世代の人に負担をお願いしつつも、高収入の人にはさらに負担をお願いして、

 

手厚い年金制度を作る必要があるのかもしれません。

 

 

しかしブログの名前を「穏健なるブログにて」としていますが、

 

そんなに穏健じゃない意見も書いてるな~と思います。